どこまでもつながるリビング

茂木邸のリビングは、「家は非日常を過ごす場所であってもいい」という茂木さんの逆説的な考えから旅館やホテルのようにくつろぐ空間となっている。(詳しくは前編参照)
そもそも茂木邸は全体でひとつ大きなリビングということができる。


庭までふくめた「ワンリビング」

このオープンな浴室(下)もそのための仕掛けのひとつだと茂木さんはいう。

庭にしても浴室にしても「ワンリビング」として作っています。
すべてをリビングの一角として含めています。
庭まで含めると奥行は18メートルほどあり、その端から端までを居室として考えてデザインをしています。

浴室も浴室単体として考えるのではなく、リビングの一画にある浴槽のある広くくつろげる浴室として考えています。
そうすることで空間がシームレスにつながっていって、広がりが与えられます。
あとは浴室を小さなリビングと見立てて、そこに照明を置き、カーペットを引いて、観葉植物を飾り、テレビを見たり読書ができるスペースに仕立て、お風呂の時間が少しでも楽しくなればいいかなと思って設計をしました。


体を洗うスペースではなく、リビングの延長で考えられた浴室

そう、浴槽はこのリビングのソファなのだ。

実際には浴室を使うときは、向かいに設置されているシャワーブースで身体を洗い、浴室に隣接している和室の障子を閉め、個室にして使う。
せっかくの開放感がもったいないと思う人もいるかもしれないが、一般的なユニットバスと比べれば広々としており、風呂付きの高級温泉のような趣がある。

また室内に浴槽があることでカビや湿気の問題も気になるが、別にシャワーブースを設けることで解決している。
シャワーを使う通常の浴室にすると大量の湯気が出て、天井や和室の設えにカビが発生する危険があるが、浴槽だけであればリビングの近くに設置することが可能だ。
ちなみに浴槽に設置されているシャワーは掃除用である。
 
 
 

建築家が水栓を選ぶポイント

水回りのディテールについて細かくみていきたい。

多くの建築家やデザイナーは、水栓といったディテールまで選ぶことはないそうだが、水まわりは暮らしの中では欠かせないアイテム。
だからこそ、空間や生活にマッチするディテールを「設計者自身でセレクトすべき」と、こだわっている。

たとえば茂木邸のキッチンには、プロの厨房を思わせる背の高いSUTTOの水栓が取り付けられているが、これは設置したシステムキッチンに元々ついていた水栓を変更し、わざわざ別に取り寄せて設置したというこだわりのキッチン水栓だ。
たしかにこのパッと目を引く水栓がなければ、このような印象的なキッチンにはならなかっただろう。


壁付キッチンで目を引く水栓「SUTTO」

そんな茂木さんに水栓選定のポイントを聞いてみた。

重要なことは使い勝手。
もうこれが一番絶対条件です。
やっぱり毎日使うのものなので使いやすいものを選ぶということ。
あとは水栓単体のデザインですね。

たとえばキッチンでいうと、カウンターキッチンや対面キッチンなどがありますが、この家の場合は、壁付けにして設計をしています。
つまりリビングの一角にあるんですね。
その時に既製の水栓がついているといかにも家庭のキッチンという雰囲気が出てしまいます。
それを消すため意匠性の高いものを設置したいと考えました。
そのときにこの水栓を見つけて、とてもインパクトがあるデザインでリビング空間にあってもかっこいい、もう素直にかっこいいと思える商品だったのでそれで選びましたね。

今回選んだ水栓はデザインだけでなく、吐水がシンクの端から端までいくことで調理の際も片付けをする際も使い勝手がよく、奥様にも好評だそう。

使い勝手がよく、デザインがかっこよければいいかというとそうではない。
空間にあっていることも重要だ。


和の空間に合わせて選定された利楽とSUTTO

全体の空間が白っぽい空間だったらシルバーの水栓を選びたいですし、グレー系黒系の空間にした場合は黒い水栓選びたいですし。
やっぱりそれはその設計者だからわかる選び方があると思います。

それからどこから見せたいか、どういう姿で見せたいかという視点も重要。
例えばこの家のキッチンは、今回は正面から見せるデザインになっていますけど、対面キッチンにしたらそれを背面から見せることになるので、デザインも当然それをふまえて選んでいくべきです。
ですから水栓も設計者が選んだ方が空間に合った商品を選べると思います。

 
 
 

SANEI製品を選びたくなる理由

今回、キッチンを始め水回りの各所でSANEIの水栓を選択した茂木さんにその理由を聞いてみた。

キッチン

最初に気に入ったのがこのキッチンのSUTTOだったそう。
和室洗面もSUTTOシリーズで統一したことにより、レバーハンドルの使い勝手も揃えられた。
シリーズで幅広いライナップがあるのもSANEIの特徴です。

 
 

和室洗面スペース

信楽焼の洗面ボール「利楽」はとても存在感がある。
ここにも先に上げたように洗面用のSUTTOが採用されている。
和に合う水栓はなかなか見つからないのだそう。この利楽とSUTTO、カウンターが一体となった空間は、奥様がメイクをしたりちょっとしたバーコーナーになるスペースだが、日常をとても豊かに感じさせてくれるそうだ。

 
 

洗面所

毎朝シャワーで頭を流し、顔を洗いたいので、まずシャワーホースが付いてることとレバーハンドルが別に付いていることが必須でした。
その条件をかなえるものがこの商品だったとのこと。
その結果すべてSANEIの商品に決まったそうだ。

 
 
最後に茂木さんのSANEIに対するイメージをうかがった。

空間全体を考慮して製品を作られていることが凄く魅力的だと思っています。
カタログの写真からも、空間全体での水栓の見え方を考えられているのというのが分かります。
そこが建築家としては魅力的にみえますね。
こういう場所に置いて欲しいというメーカーさんからの熱いメッセージが込められているように感じて、それがとても響きました。

隅々までこだわった家づくりをしたいと思ったとき、ぜひ水回り、水栓もこだわってみてはどうだろうか。
美しい空間を求める建築家、デザイナー、施主の方々の想いに応える商品はきっとあるはずである。


nagom arcitects & photo 茂木哲
住所:神奈川県横浜市港北区
TEL:070-4022-0512
メール:info@nagom.design

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